【新型コロナウイルス】魚食文化衰退が招く漁業の衰退

2020/04/13 ブログ

【新型コロナウイルス】

魚食文化衰退が招く漁業の衰退

 

新型コロナウイルス Covid-19 の影響で、通常なら冬の寒さが和らいだ今頃は都市部や海外からの旅行客でどこも賑わう鳥羽市。

 

今年は満開の桜も人々を喜ばせることが出来ずなんだか寂しそう・・・こんな事が起こるなんて誰も想像できませんでした。2020年、一体どんな年になるのでしょうか。

 

さて、ゲストハウスAMARGE(アマージュ)は宿泊客の8割近くを海外からの旅行者が占めます。

という事で、影響は絶大。お客様は年明けからゼロです。

 

それでもありがたいのは、私自身が海女をしており、宿泊業以外にも何かしらの仕事をさせて頂けている事でしょうか。

 

現在の伊勢志摩エリアは海藻系の漁の真っ最中。

ひじきやわかめ、めかぶなどを海に潜って海女達は採っています。乾燥をさせて保存をしておくことが出来るので、可能であればこの混沌が収まってから出荷したいなぁと考えています。

 

通常ですと4月の後半から海女の醍醐味【アワビ漁】がスタートしますが、今年は延期されそうだという噂です。

 

今回のコロナショックにより、魚介類、特に高級食材と言われるタイやヒラメ、伊勢海老などの価格が軒並み暴落しています。

普段は旅館やホテル、料亭などが仕入れて下さるこれらの食材も、お客様がいないので仕入れられることがなく、売っても二束三文という状態です。

 

悲しいかな、魚介類自体の質はいつも通りの新鮮さと美味しさ。これがこんなに安くでしか売れないなんて本当にもったいない事です。

 

「きっとアワビも伊勢海老と同じように、今売ったとしても信じられないくらいの安さでしか買ってもらえないだろう」という事で、アワビ漁は延期されそうです。

 

こんな時、ご家庭で魚や貝を調理できる方がもう少しいたら魚も売れたのかな、と思います。

 

昔と違い、今はご家庭で出刃包丁を持つ方も少なく、魚は鱗も内臓も取られあとは加熱調理をするだけ、という状態の物しかスーパーで見かけません。

ちょっと凝った魚料理を食べたければ、外食するか宿泊先のホテルや旅館で楽しむという考えが一般的になりました。

 

かく言う私も、名古屋で会社勤めをしていた時は魚をさばいた事などありませんでした。若い世代ほどその傾向は強いでしょう。

 

これまでは仲買人が魚を高く買ってくれなくても、陰で仲買人の文句しか言わなかった漁業者ですが、今回の件で一般消費が低迷する事で自分たちの獲った魚介類の価値がなくなるという事に気付いた漁業者も多いはず・・・

 

魚食文化の復興は漁業を盛り上げるための間接的なアプローチなのではなく、すぐにやらなくてはならない、直接的に我々漁師や海女の生活を脅かす大変重要な事なのだとみんなが気付いた事でしょう。

 

【魚をご家庭で調理し食べられる方がいなくては、漁師や海女は生活できない】

 

今回の新型コロナウイルスは、強烈な印象を以て、我々漁業者全員に強制的にショックを与えました。

 

私も正直「美味しいもの、良いものを売ればちゃんと買ってもらえる」と高をくくっておりました。

考えが甘すぎたと反省しています。

 

これからの漁業者は【魚を獲って売る】から【魚を獲って売り、さらに消費者にその美味しい食べ方を伝える】までをワンセットで行う必要があるのでしょう。

誰かがやってくれるのを待つのではなく、今すぐ、自分で、やらなくてはいけません。

 

ゲストハウスAMARGE(アマージュ)では、漁師の家らしく、夫が獲ってきた魚を港で調理し、お客様に地元名物『みみそ』という漁師汁を振舞う郷土料理体験などの体験プログラムをご用意しております。

 

『お魚を食べるのは好きだけれど調理は苦手』

という方は、全く魚なんてさばいた事のなかった元・名古屋OLの私が、鱗の取り方から魚のさばき方、調理の仕方まで丁寧にお教えいたしますので、是非一度足を運んでみて下さい。