海女(あま)とは?
海女(あま)とは?
こんにちは、ゲストハウスAMARGE(アマージュ)オーナー、現役海女のリカコです。
今回は少し私の生業である【海女】についてご紹介したいと思います。
海女の歴史は古く、万葉集にもその存在が書かれているほど。遺跡発掘時にアワビを岩からはがし取る為の道具が見つかっており、海女は少なくとも2000年以上の昔から存在すると言われています。
海女は主に女性の生業とされ、海の仕事と言えば男の仕事、という欧米の文化と異なる点は特に注目すべき特徴です。最近では男性の海女も増えていると言いますが、男性の場合は海女と呼ばず、海士(あま/かいし)と言ったり、男あまと呼んだりします。
素潜りで海に潜り、貝や海藻、魚を獲る事で生計を立てています。酸素ボンベやスノーケルなどの潜水機材や道具を使わないのは、限りある海の資源を守り、後世に豊かな海と資源を残しつつ自然と共存するという考え方が根底にあるからです。
日本と韓国にしかいないと言われる海女は、今からほんの70年ほど前までは全裸に腰巻やふんどしをしめただけという格好で冷たい海に潜って漁をしていたと言います。
乳房もあらわにした女性たちですから、時代の変化とともに段々と恰好を改め、白い綿で出来た衣服(=磯着)を着て潜るようになり、そして1960年~1970年代になるとウェットスーツの着用を解禁する地域が現れ始めたそうです。
今でも乱獲防止のためにウェットスーツの利用を禁止したり制限をする地域もあります。
その土地の海の環境や海女の人数、資源管理の考え方によって地域ごとに独自のルールが設定されています。
現在、日本全国におよそ1500人の海女がいます。
そしてその半数近くがこの伊勢志摩エリア、具体的には志摩市と鳥羽市におり、鳥羽市は海女の人数が日本一多い地域です。
特に私の暮らす鳥羽市石鏡町(いじかちょう)は、男性の海士が1人もいない女性だけの生業であるという事が特徴的です。
海女は安全のためチームで海に潜りますが、獲った獲物は山分けしません。
自分の獲った分が自分の収入になる為、チームメイトであってもライバルです。
それでも上手くコミュニティーが成り立っているのは、女性的な気遣いとしたたかさと、協調性の成せる技かなぁと思ったりもします。
収入も人それぞれで、1年間で500万円以上を稼ぐ海女もいれば、50万円にも満たない海女もいます。
それぞれが自分のペースで漁をし、本業にしても副業にしてもいい、行っても行かなくてもいい、獲った海産物は売ってもいいし自分で食べてもいいという仕事の仕方は、非常にユニークだと思います。
後継者不足など課題の多い海女業界ですが、女性が女性らしく生きていける環境がある世界なので現代女性にこそ是非知って頂きたい職業、もといライフスタイルです。